帰りの車の中で



「小鳥遊君、おつかれ」
「相馬さんも、お疲れ様でした」
「まぁ、こっちは子供だったからね」


男嫌いの伊波さんが乗っている店長の車に乗って帰るわけにも(というより、定員オーバーだろう)いかず。
行きと同じくバスで帰ろうとしていたら、遅れて到着した佐藤さんが送ってくれる、というのでお言葉に甘えて乗っけてもらいました。


「…結局、温泉入ったのか?」
「いえ、入れませんでした…」
「店長と轟さんもずーっとご飯食べてたみたいだしねー。種島さんたちが足湯に入ってたぐらいかな」
「じゃあ小鳥遊まったく疲れ取れてないんじゃねぇのか?」
「そうですね、いつも通りでした」


伊波さんの世話で温泉どころではなかったし。……まったく団体行動ができない人達だよなぁ……。


「じゃあ、入ってく?」
「え?」
「俺いいとこ知ってるよ?2時間三千円泡風呂付きのホテ」

バキッ

「ったぁ……」
「ラブホじゃねぇかこのバカ」

助手席の相馬さんにげんこつを入れる。
あんまり前の席の話聞こえないから、なんていったのか……。多分怒らせるようなことだろう。

「なんでもねぇから。気にすんな」
「そうだよね、いくらなんでも疲れ取れるどころか疲れ増やしちゃうよね」
「お前は黙れ」
「でもそれ以上に気持ち良くなれるよ!」
「わかった。降りろ。それから黙れ」

会話の内容から察するに。
お風呂には入れるけど、疲れる。けど気持ちいい……。


「……スーパー銭湯かなにかですか?」


「……思った以上に天然…」
「……だな」


頭の上にはてなマークを飛ばしていると、佐藤さんが、「お前、もうちょっと危機感をもて」とため息交じりに呟いた。


「あははー。俺的には聞こえなかっただけじゃないかなーと思うけど。そんなんじゃすぐ佐藤君につれこまr」
「黙れ」

相馬さんの言葉の途中で佐藤さんが殴ったので最後まで聞こえなかった。

「……相馬さん、気絶してません?」

続きを話す気配がなかったので助手席を覗き込むと、相馬さんがぐったりしてた。

「強く殴りすぎたか」
「まぁ、たまにはいいんじゃないですか?」
「だな」
「………佐藤さん」
「なんだ?」


恥ずかしいので、昨日から胸の中にしまっていたセリフ。
相馬さんが気絶してるなら、言っても、いいかな。



「……佐藤さんは、チーフの湯上り姿を見たいのかもしれませんけど」
「ごほっ!?」

佐藤さんがむせったのが聞こえたけど、勢いで続ける。




「俺の……湯上り姿だったら、いつでもみせます…よ…?」




「……たかなし」

小さく呟いてから、急に脇に車を寄せて停車した。

「佐藤さん?」

煙草を灰皿に押しつけて、佐藤さんが振り向いて。


「お前、バカだろ」
「は……んっ」


頭を引かれて、唇を奪われた。
逃げようと、後ろに引こうとしたら、余計に頭を押さえつけられて深くなった。


「んぅ……は」
「…………次、今みたいなこと言ったら、襲うからな」


そういって前をむいて、また車を発進させた。


「〜〜〜〜っ」

多分、今、すごい顔が赤くなってる。
でも、佐藤さんの耳も、真っ赤になってるから、多分恥ずかしくない。












(俺、いつ起きればいいのかなー)


はずかしいラブラブな空気にいまさら気が付いているとも言えず。
絶対後でからかってやろう、と心に決めながら狸寝入りを続けていた相馬だった。



Blogに載せてたのに加筆しました。
日記の時はキッチンサンドだったはずなのに。
どうしてこうなった。←